本当に暗号化されている日記アプリ4選|2026年版
2026年版・本当にエンドツーエンド暗号化されている日記アプリ。OwnJournal、Day One、Apple Journal、Journeyをプライバシー・価格・対応プラットフォームで比較。
更新日: 2026年6月17日
暗号化で選ぶベスト(ひと目で結論)
- 🏆 データの保存先を自分で選ぶなら: OwnJournal ── オープンソース、自分のクラウド、任意のE2EE
- ✍️ 主流アプリでいちばん: Day One ── デフォルトでE2EE、2017年の公開監査、書き心地は一級品
- 🍎 Apple派に無料でいちばん: Apple Journal ── 2FAと端末パスコードの条件下でiCloud E2EE
- 🌐 LinuxやWindowsで使うなら: Journey ── Linuxネイティブアプリがあるのはここだけ。E2EEはオプトイン
次点: Standard Notes と Obsidian ── 本来はメモアプリですが、監査済みの暗号化を最優先したい方には日記用途でも十分使えます。
目次へ: 比較表 · 選び方 · 注目の新興アプリ · E2EEではないアプリ
本音をそっと書きとめたはずの日記が、実は運営会社の中の人にも読まれている——そう想像してモヤモヤしたことはありませんか。
弱音や愚痴、誰にも言えない迷い。書く相手が「自分だけ」のつもりでも、サーバーの向こう側にもう一人読み手がいるのなら、書き出す勇気は静かに削られていきます。
本記事では、2026年時点で提供者による本文アクセスを抑えるE2EEを文書化している日記アプリ4本を取り上げ、「暗号化」という言葉が何を守り、何を守らないのかを整理します。
各社のセキュリティページと公開資料を2026年4月に照合した内容です。
くわしく見ていきましょう。
仕組みの資料までそろっているエンドツーエンド暗号化(E2EE)の日記アプリは、現時点で4つ。OwnJournal、Day One、Apple Journal、そしてJourneyです。
Day Oneは新しい日記でE2EEが初期設定です。Apple Journalは二要素認証と端末パスコードが有効な場合にiCloud上のJournalデータへ適用されます。OwnJournalとJourneyは、自分でオンにする必要があります。
DeepJournalやCortexOSといった新興アプリもE2EEを掲げていますが、アーキテクチャに関する公開資料はまだ薄め。「暗号化」「安全」と謳う他の多くは、通信時か保存時の暗号化どまりで、肝心の鍵は会社が握ったままです。
実はここが、同じ「暗号化」という言葉でいちばん誤解されやすい場所でもあります。
なぜ日記こそ暗号化が要るのか——その背景は、日記アプリのプライバシー徹底検証で踏み込んで書いています。
価格と暗号化の仕様は2026年4月時点で各社のセキュリティページを照合したものです。購入前に公式サイトで最新情報をご確認ください。
「暗号化されています」の3つの意味
同じ言葉が、まったく別の3つの仕事を指しています。そして多くのベンダーは、そのあいまいさにそっと乗っかってきます。
通信時の暗号化(TLS) は、スマートフォンとサーバーのあいだを日記が往復する数秒のあいだ、盗聴を防ぐ仕組みです。
まともなアプリならどこでも備わっていますし、これはプライバシー機能というより、現代のWebの最低限の前提と言ったほうが近いものです。会社自身から日記を守ってくれるわけではありません。
保存時の暗号化 は、会社のサーバー上のデータベースを外部攻撃から守ります。
ただし復号鍵は会社が握っていて、社員も——一部の会社では実際に明言されているとおり——トラブルシューティングのために中身にアクセスできます。日記用途で使われるアプリだと、Notionが一番よくある例です。
エンドツーエンド暗号化(E2EE) は、同期先に届く前に日記を暗号化し、通常は同期事業者が内容の鍵を持たないようにする仕組みです。
正しく実装されていれば、同期先が扱うのは暗号文です。事業者側からのアクセスを大きく制限できますが、侵害された端末、共有した認証情報、エクスポート、バックアップ、メタデータ、復旧の仕組みまで無関係になるわけではありません。
会社が「理論上、読めない」のがエンドツーエンド暗号化。会社が「読みません」と約束しているだけなのは、ただのプライバシーポリシーです。
ここから挙げる4つは、仕組みがきちんと文書化されたE2EEを備え、この基準を余裕で満たします。
ただ、調べた他のアプリの大半は満たしていません。新興アプリの中にも「謳ってはいるけれど、まだ確信を持って検証できる材料が足りない」ものがあります。次から、4本を1つずつ見ていきます。
4本のアプリを詳しく見る
OwnJournal ── データの保存先を自分で選びたい方へ
- 価格: 無料プランで日記は無制限、任意のE2EEも含まれます。Plusは年額19.99ドルでAI気分分析とPDF/Wordエクスポートを追加。
- 対応プラットフォーム: Web、Android、iOS(iPhone・iPad)、デスクトップ(Electron)。
- エンドツーエンド暗号化: 無料プランで任意に有効化できます。連携先クラウドにも暗号文だけを置きたい場合は、設定でオンにしてください。
- データ保存先: あなた自身のクラウド ── Google Drive、Dropbox、iCloud Drive、またはNextcloud。OwnJournalのサーバーは日記を一切保持しません。
- オープンソース: はい、AGPL-3.0(フルスタック)。
OwnJournalは、ここに挙げた他のアプリと根っこから違う考え方で動いています。
日記を会社のサーバーに保管するのではなく、あなた自身のGoogle Drive、Dropbox、iCloud Drive、またはセルフホストのNextcloudに直接同期します。E2EEを有効にした場合は暗号文が保存され、Simpleモードでは読める形のコピーが保存されます。
OwnJournalのサーバーは日記を保管しません。選んだ保存先で暗号文になるのは、任意のE2EEを有効にした場合です。
コードベース全体はAGPL-3.0で公開されています。
ソースを読める人なら、意図された暗号化の実装を確認できます。これは閉じた製品にはない材料です。ただし、ソース公開だけでリリースの監査が済むわけでも、手元の配布ビルドが公開コードと一致すると証明されるわけでもありません。
正直に書いておきたい注意点。
OwnJournalは新しいプロジェクトで、まだ第三者による正式な監査は受けていません。
無料プランは日常の日記には十分使えますが、AI分析や整ったエクスポート形式は年額19.99ドルのPlusプランに含まれます。
| ✅ 無料プランの内容 | ⚠️ 注意点 |
|---|---|
| 無制限の日記+任意のE2EE | 製本サービスはなし |
| 自分のクラウドに保存(Drive/Dropbox/Nextcloud) | 第三者のセキュリティ監査はこれから |
| 気分トラッキング、タグ、Markdown | コミュニティは小規模 ── 活発だがまだ初期 |
| マルチデバイス同期、オフラインモード | AI機能とPDF/Wordエクスポートは有料 |
| JSONバックアップのエクスポート | — |
こんな人におすすめ: 自分で保存先を選び、公開された実装を確認し、必要に応じてE2EEを有効にしたい方。とくにAndroid、Linux、自分でホスティングしたい方。
向いていない人: 第三者の監査と長い運用実績がある製品を重視する方。
Day One ── 主流アプリで「書き心地」と「監査」を両立
- 価格: Basic(無料)にE2EEが含まれます。Silverは年額49.99ドルでマルチデバイス同期とメディア無制限を追加。Goldは年額74.99ドルでAI振り返り機能を追加。
- 対応プラットフォーム: iOS、iPadOS、macOS、Android、Windows(2025年3月対応)、Web。Linuxクライアントはなし。
- エンドツーエンド暗号化: 全プランでデフォルト有効。AES-256-GCM + RSA-2048 による鍵ラッピング。アーキテクチャは2017年にnVisiumが監査しており、その後は更新されていません。
- データ保存先: 会社のサーバー(AWS)。
- オープンソース: いいえ、プロプライエタリ。
- 運営元: Automattic(WordPressの親会社、2021年6月に買収)。
このカテゴリーでいちばん厚く文書化されているのが、Day Oneです。
公開ホワイトペーパーでは、入れ子になった鍵の階層が説明されています。各日記は専用のAES-256-GCM鍵で暗号化され、その鍵は日記帳ごとのRSA-2048公開鍵でラップされ、さらにボルト鍵、最上位のアカウントマスター鍵と順に重ねてラップされます。
マスター鍵はDay Oneのサーバーには触れず、デフォルトではiCloud Keychainに保存される設計です。
実はE2EEは、現在のDay Oneの料金ページでBasic(無料)プランの機能として明記されており、有料の壁はもうありません。
そしてアーキテクチャ自体は2017年にnVisiumのレビューを受けています。今回取り上げた主流の日記アプリで、第三者監査を公開しているのはDay Oneだけ ── ただし9年前のレポートが更新されていない、というのは正直に書いておきたいところです。
トレードオフはクローズドソースであることと、運営会社への依存です。
Day Oneは2021年からAutomatticが所有するプロプライエタリなコードで、説明されたアーキテクチャがサーバー上で実際に動いているコードと一致している、という前提を信じることになります。書き心地はこのカテゴリーでも一級品で、マルチメディア日記、過去の日記をふと差し戻してくれる「On This Day」、他のアプリにはない製本サービスまでそろっています。
| ✅ 無料Basicの内容 | ⚠️ 注意点 |
|---|---|
| 無制限の日記+E2EE | 同期にはSilver(年額49.99ドル)が必要 |
| 毎日の書き出しのお題、タグ、検索 | Linuxネイティブクライアントなし |
| Basicは日記1件につき写真1枚 | この比較で最も高額な有料プラン |
| エクスポート(JSON、PDF、プレーンテキスト) | プロプライエタリ ── 検証は信頼に依存 |
| nVisium監査済みアーキテクチャ(2017年) | Android版はiOS版より機能が少なめ |
こんな人におすすめ: 第三者の監査を経たE2EEと最上級の書き心地を両立したい方。洗練されたアプリにきちんと課金できる方。
向いていない人: Linuxをメイン端末として使う方。オープンソースで自分の目で確かめたい方。iOSと同水準のAndroid体験が必要な方。
Apple Journal ── 2つの条件を満たせばiCloud E2EE
- 価格: 無料。iOS、iPadOS、macOSに組み込み。
- 対応プラットフォーム: iPhone、iPad(iPadOS 26以降)、Mac(macOS Tahoe以降)。2025年にiPhone・iPad・Macの3プラットフォームへ拡大。Android、Windows、Webには非対応。
- エンドツーエンド暗号化: 二要素認証+端末パスコードという条件で、デフォルトで有効。Advanced Data Protectionは不要。
- データ保存先: iCloud。
- オープンソース: いいえ。
- 運営元: Apple Inc.
Apple Journalの保護は、二要素認証と端末パスコードという2つの条件を満たしているかで決まります。
AppleのJournaling Suggestionsに関するプライバシー文書では、この2つが有効な場合、iCloud上のJournalデータはE2EEの対象になると説明されています。Advanced Data Protectionは必要ありません。
Advanced Data Protectionは不要です。ただし、二要素認証と端末パスコードの両方が有効かを確認してください。
アプリ自体は2023年のiPhone限定スタートから、2025年にはiPhone・iPad・Mac対応へと広がりました。
同期はiCloudが担い、3つの端末すべてで暗号化は一貫しています。インターフェースは意図的にミニマルで、未完成というより「あえてそうしている」印象。写真・ワークアウト・音楽をもとに書くタイミングをそっと提案するオンデバイスの機械学習を備えつつ、設定項目はほぼ露出していません。
ただ、その裏返しが囲い込みです。
Android、Windows、Webには非対応。Appleエコシステムを離れた瞬間、日記を意味のある形で持ち出すのは難しくなります。エクスポート機能もDay OneやOwnJournalに比べれば限定的です。
| ✅ 無料プランの内容 | ⚠️ 注意点 |
|---|---|
| 2FA+パスコードでデフォルトE2EE | Appleエコシステム限定 |
| 課金圧ゼロ | エクスポート機能が限定的 |
| オンデバイスのAI提案 | タグやカテゴリーなし |
| Face ID / Touch IDによるアプリロック | 「On This Day」的な振り返り機能なし |
| iCloudによるApple端末間同期 | クローズドソース |
こんな人におすすめ: Appleエコシステムの中で完結していて、設定なしで初期状態からプライベートな状態が欲しく、サブスクリプションに振り回されたくない方。
向いていない人: Android、Windows、Linux、Webをメインにしている方。豊富なエクスポート機能やタグが欲しい方。
Journey ── Linuxまで網羅する唯一のE2EE日記
- 価格: 無料プランあり。Membershipは月額6.99ドルまたは年額49.99ドルでクロスプラットフォーム同期を解禁。
- 対応プラットフォーム: iOS、Android、macOS、Windows、Linux、Web。今回の比較でLinuxネイティブクライアントがあるのはここだけ。
- エンドツーエンド暗号化: Journey Cloud Sync でオプトイン。テキストはRSA、メディアはAES。有効化するとAI検索は無効になります。
- データ保存先: あなたのGoogle Drive、Journey Cloud Sync、またはセルフホスト。
- オープンソース: 一部 ── セルフホスト用の同期サーバーはCC-BY-NC-SA。クライアントはプロプライエタリ。
- 運営元: Two App Studio Pte. Ltd.(シンガポール)。
iPhone、会社のWindowsノート、自宅のLinuxマシン——この3つを行き来しながら書く人にとって、Linuxネイティブアプリがあるかどうかは大きな分かれ目になります。
今回のリストでその条件を満たすのは、Journeyだけ。
E2EE自体の設計もしっかりしていますが、ここで肝心なのは「有効にしたとき」という条件です。
Journeyでは、エンドツーエンド暗号化はJourney Cloud Syncのオプトイン機能になっています。設定したパスフレーズで各端末上のコンテンツを復号する仕組みで、失くしてしまうと復旧できません。
ちなみにJourneyは、E2EEをオンにすると検索機能が使えなくなる(サーバー側でインデックスを作れなくなるため)こと、サーバー側で本文を読むAI機能も動かなくなることを、はっきり案内しています。
これはE2EEを真面目にやれば必ずぶつかるトレードオフで、Journeyはそれを隠さずに正面から提示している、とも言えます。
ちなみにデフォルトの同期先はGoogle Driveで、この場合Journeyのサーバーには日記は保存されず、自分のDriveアカウントに残る形になります。
E2EEを有効にしなくても、仕組みとしてはOwnJournalに近いプライバシー上の利点があるわけです。ただしその場合の暗号化の強度は、JourneyではなくGoogle Drive側の仕様に左右されます。
| ✅ 無料プランの内容 | ⚠️ 注意点 |
|---|---|
| 基本的なテキスト入力、合計60件まで | 無料プランは実質お試し |
| モバイル+Web | E2EEはオプトインでデフォルトではない |
| Google Drive同期オプション | E2EE有効時は検索とAIが無効 |
| AIクエリは1日10回まで | パスフレーズ紛失=日記は復旧不可 |
| ガイド付きの書き出しのお題 | クライアントはプロプライエタリ |
こんな人におすすめ: Linuxが必要な方。Windowsネイティブアプリを使いたい方。オプトインのE2EEを自分の手で管理できる方。
向いていない人: 設定なしでデフォルトから暗号化されていてほしい方。日記の検索やAI機能を頻繁に使う方。
読み進める前に
プライバシーが気になってこの記事にたどり着いたなら、次の2本も一歩踏み込んだ内容になっています。
番外編:日記にも使える、暗号化が強力なメモアプリ
ここから挙げるのは厳密には日記アプリではなく、メモアプリです。
ただ、どちらも暗号化の仕組みと監査資料を公開しており、「日記専用の機能より、第三者による検証資料を優先したい」という方の比較対象になります。
Standard Notes ── 監査の厚みでは群を抜く
- 価格: 無料プランでプレーンテキストの日記にE2EE。年額約90ドルからのProductivityプランでエディタ、ファイル、上位機能を追加。
- 対応プラットフォーム: iOS、Android、macOS、Windows、Linux、Web。
- エンドツーエンド暗号化: 常時デフォルト有効。XChaCha20-Poly1305 と Argon2 による鍵導出。
- 監査: Trail of Bits、Cure53、Shackle Labs による第三者監査を実施。
- オープンソース: はい。クライアントとサーバー両方。
- 運営元: 2024年4月にProton AGが買収 ── 現在はスイス管轄、Proton Mailと同じ暗号化思想で運営。
今回取り上げる全アプリの中で、独立監査の実績がいちばん厚いのがStandard Notesです。
「監査済みのゼロ知識」が譲れないなら、これがゴールドスタンダード。ただ正直に言えば、これは「日記にも使えるメモアプリ」であって、「On This Day」やマルチメディア日記のような日記特化の機能はありません。
こんな人におすすめ: 監査済みのゼロ知識暗号化が最優先で、メモアプリを日記用に使いこなせる方。
向いていない人: 過去の日記の振り返り、写真中心の日記、気分トラッキングといった日記らしさを最初から欲しい方。
Obsidian(Obsidian Sync 併用) ── 暗号化を自分の目で確かめられる
- 価格: ローカル利用は無料。Obsidian Syncは年払いで月額4ドル相当、E2EE同期を追加。
- 対応プラットフォーム: Windows、macOS、Linux、iOS、Android。データはローカルのMarkdownファイルとして保存。
- エンドツーエンド暗号化: Sync利用時はデフォルト有効。AES-256-GCM、scryptによる鍵導出、HKDF を使用。Obsidianは暗号化を自分で確かめるための検証ガイドも公開しています。
- オープンソース: コア本体はクローズドソースだが、プラグインAPIはオープン。Syncはクローズド。
- 運営元: Dynalist Inc.
Obsidianがこの比較で際立つのは、暗号化を公開ガイドに沿って自分で確かめられる点 ── クローズドソース製品にしては珍しい透明性です。
ただし、そもそもObsidianは個人向けの知識管理ツールが本業で、日記は「デイリーノート」プラグインで実現する形になります。書き出しのお題や振り返りカードのような日記アプリの「気持ちよさ」は、自分で組み立てる必要があります。
こんな人におすすめ: プレーンテキストのMarkdownが苦にならず、主要プラットフォームすべてで自分で検証できるE2EEを使いたいパワーユーザー。
向いていない人: プラグインやVaultの設定なしに、箱から出してすぐ使える日記アプリが欲しい方。
6本まとめて見比べる比較表
| アプリ | E2EEの状態 | 価格 | 対応プラットフォーム | オープンソース | 第三者監査 |
|---|---|---|---|---|---|
| OwnJournal | 任意、無料プランも対象 | 無料 / 年額19.99ドル | Web、Android、iOS、デスクトップ | はい(AGPL-3.0) | まだなし |
| Day One | デフォルト、無料Basicも対象 | 無料 / 年額49.99〜74.99ドル | iOS、iPadOS、macOS、Android、Windows、Web | いいえ | あり(nVisium、2017年) |
| Apple Journal | 2FA+パスコード下でデフォルト | 完全無料 | iPhone、iPad、Mac | いいえ | 該当なし |
| Journey | Cloud Sync でオプトイン | 無料(制限あり) / 年額49.99ドル | iOS、Android、macOS、Windows、Linux、Web | 一部(サーバーのみ) | なし |
| Standard Notes | 常時デフォルト | 無料 / 年額約90ドル〜 | iOS、Android、macOS、Windows、Linux、Web | はい | あり(Trail of Bits、Cure53) |
| Obsidian Sync | Sync利用時はデフォルト | 月額4ドル(年払い) | Windows、macOS、Linux、iOS、Android | プラグインAPIのみ | 検証ガイドを公開 |
まだ様子見:注目している新興アプリ
以下のアプリも、E2EEやゼロ知識暗号化を掲げています。
ただ、アーキテクチャの公開文書は前述の4本ほど厚くありません。現時点では検証が追いついておらず、同じ信頼度ではおすすめしきれない、というのが正直なところです。
DeepJournal ── AIに振った日記アプリで、「エンドツーエンド暗号化された同期」と「Confidential AI」のインサイトを謳います。暗号化アルゴリズム、鍵導出、第三者監査のいずれも、公式サイトには記載がありません。無料プランあり、Plusは月額20ドル。
CortexOS ── iOS専用で、AES-256-GCM、Argon2id による鍵導出、ハードウェアベースの鍵保管、MetaのLlama 3.2によるオンデバイスAIを組み合わせたゼロ知識アーキテクチャを掲げています。ユーザー基盤は小さめで、公開された第三者監査はまだありません。無料プラン、月額9.99ドル、または買い切り199.99ドル。
OpponentBook ── 16の個人競技で戦う選手だけに絞ったニッチな日記アプリ。ノートは会社のサーバーではなく自分のGoogle Drive・Dropbox・iCloudに書き込まれ、端末側でのAES-256-GCM暗号化を任意で有効にできます。ただし暗号化は初期設定ではなくオプトイン、写真と動画は対象外。コードは非公開で、第三者監査もありません。無料プランあり、有料プランは月額9.99ドルから。
3本とも、自分の端末で使えるようになったら慎重に試してみる価値はあります。公開文書が充実するか、第三者監査が出た段階で、あらためて取り上げます。
「プライバシー」を掲げているのに、実はE2EEではないアプリ
ここから挙げるのは、「プライベート」「安全」と訴求しつつ、実際にはE2EEを提供していないアプリです。
プライバシーを最優先するなら、上のリストから選んでください。
Stoic ── 公式ページには「安全な保存」「デバイスバックアップ」といった文言が並びますが、E2EEは明記されておらず、アーキテクチャを示すセキュリティページもありません。マーケティング文だけで暗号化されている、と判断しないことです。
Daybook ── データはDaybookのクラウドへ「通信時に」暗号化されると書かれています。これは通信時の暗号化であってエンドツーエンドではなく、鍵はDaybook側が持ったままです。
Daylio ── 端末内のアプリ専用ディレクトリにデータを保存し、Google DriveやiCloud経由で同期。端末レベルのプライバシーは強いものの、E2EEはなく、暗号化の強さはDaylio自身ではなく、DriveやiCloudの設定に依存します。
Diarium ── パスワードで保護されたローカルストレージと、自分のOneDrive・Google Drive・Dropboxを介した同期を提供。Diariumがクラウドにデータを持たないという意味でプライバシー寄りですが、E2EEのアルゴリズムは文書化されていません。設計の方向性は良いものの、厳密な意味での「E2EE」とは言えません。
Notion ── 保存時も通信時も暗号化されますが、鍵はNotion側が保持し、社員もトラブルシューティングのために顧客コンテンツにアクセスできると明記されています。Notionを日記に使っている場合は、Notionで日記を始める完全ガイドで回避策を取り上げており、プライバシーガイドでは「センシティブな内容には向かない」理由を踏み込んで書いています。
結局、どれを選べばいいのか
保存先と公開コードを重視するなら:OwnJournal が候補です。BYOSにより日記はOwnJournalのサーバーではなく自分のクラウドへ保存されます。連携先にも読めない形で置きたい場合は、任意のE2EEを有効にしてください。クラウドアカウント、端末、バックアップも引き続き重要です。
主流アプリの洗練とE2EEの公開監査歴を両立したいなら:Day One。E2EEは初期設定ですが、公開監査は2017年のもので、現在の配布版を保証する資料ではありません。マルチデバイス同期は有料前提です。
Appleデバイスだけで使うなら:Apple Journal。料金はかかりません。二要素認証と端末パスコードを確認すれば、iCloud上のJournalデータがE2EEの対象になります。
Linux、Windows、クロスプラットフォームが必要なら:Journey。サインアップ直後にCloud Syncを有効化し、E2EEをオンにしておきましょう。引き換えに検索機能は使えなくなる、という点は覚悟しておいてください。
監査済みのゼロ知識が最優先で、メモアプリを日記用に使いこなせるなら:Standard Notes。Trail of BitsとCure53による監査、Protonによる買収と合わせて、検証の厚みは群を抜きます。
今夜、ひとつだけ試してみるなら
いま使っている日記アプリの設定を開いて、「エンドツーエンド暗号化」「ゼロ知識」「同期前に暗号化」といった言葉を探してみてください。
設定があってオフになっているなら、復旧方法と機能上の制約を確認してから有効にしましょう。Journeyのように、検索やAIが使えなくなる方式もあります。
設定がない場合は、提供者が本文の鍵を管理している可能性を確認してください。移行時間はデータ量や書き出し形式で変わるため、まず少量で復元まで試し、元のバックアップを残します。
書く相手が「自分だけ」になれば、書ける本音の濃さも変わってきます。
よくある質問
2026年時点で本当にエンドツーエンド暗号化されている日記アプリはどれですか?
仕組みを説明する資料があるE2EEの日記アプリは4つです。OwnJournal、Day One、Apple Journal、Journey。Day Oneは新しい日記で初期設定、Apple Journalは二要素認証と端末パスコードの条件下で適用されます。OwnJournalは任意、JourneyはCloud Syncでのオプトインです。DeepJournalやCortexOSもE2EEを掲げていますが、公開資料は上の4つほど厚くありません。
「暗号化」と「エンドツーエンド暗号化」はどう違うのですか?
通信時の暗号化(TLS)は送受信中を、保存時の暗号化は保存媒体を守りますが、どちらもサービス側が復号鍵を管理する場合があります。E2EEは同期先へ届く前に本文を暗号化し、提供者が本文の鍵を持たないよう設計する方式です。提供者による本文アクセスを減らせますが、端末、共有、書き出し、バックアップ、メタデータ、復旧経路は別に考える必要があります。
Apple Journal はエンドツーエンド暗号化されていますか?
されています ── Apple IDの二要素認証が有効で、端末にパスコードを設定していることが条件です。Appleのプライバシー文書では、その条件下でJournalの日記はiCloud上でエンドツーエンド暗号化され、Appleでも読めないと明記されています。Advanced Data Protectionの有効化は不要です。
無料プランでもエンドツーエンド暗号化は使えますか?
Apple Journal、Day One Basic、OwnJournalは、E2EEそのものに専用の追加料金を設けていません。Apple Journalには二要素認証と端末パスコードが必要で、OwnJournalは自分で有効にします。JourneyではJourney Cloud SyncのE2EEを選ぶと、検索とOdysseyが使えなくなります。同期や容量など別の機能には有料プランが必要な場合があります。
暗号化キーをなくしてしまったら日記はどうなりますか?
復旧できるかどうかは、アプリの鍵管理によって変わります。唯一のパスワードや鍵を失うと復旧できない方式もあれば、端末やアカウントを使った復旧と引き換えに信頼先が増える方式もあります。使い始める前に復旧手順を確認してください。Apple JournalはApple IDと信頼済みデバイスの仕組みに結びついています。
オープンソースの日記アプリの方がプライベートですか?
オープンソースとプライバシーはイコールではありませんが、第三者が実装を確認できる材料になります。今回のリストで完全にオープンソース(AGPL-3.0)なのはOwnJournalだけです。ただし、ソース公開だけで正式な監査や配布ビルドとの一致まで証明されるわけではありません。